人生100年もあったら、ずっと健康でいられる自信ないな~
じゃ、歯磨きやな!
ん、どういうこと?
虫歯にならないということでしょうか。いえいえ、そんなことではありません。(確かに虫歯になったら健康ではありませんが。)歯を磨かないと健康どころか、寿命が縮んでしまうんです!
このことは、お医者さんの世界では昔から経験としてわかっていたことなんですが、科学的にも解明されてきたので、なぜ「健康=歯磨き」なのか順を追って説明していきたいと思います。
日本人の5大死因のリスクを下げる?
高齢になってくると、ほとんどの人が同じ原因で死んでしまいます。死因ですね。日本人の約70%が、下の5つの原因で死んでしまいます。この死因を回避できれば、健康に長生きできるというわけです。
- ガン
- 心疾患
- 脳血管疾患
- 肺炎
- 老衰
参照元:厚生労働省
5の老衰は仕方ないですが、どれも聞いたことがある病気ですね。実は、この1~4全部、歯磨きすることでリスクを下げることができるんです!
なぜ歯磨きか?
なぜ、歯磨きすると病気になるリスクを下げられるのか? それは歯周病菌が関わっているからなんです。
といっても、どれも歯には関係がない病気ですから、よくわからないですよね。なぜ、歯周病菌か?の部分を具体的に説明していきましょう。
歯周病菌は口内だけではない
歯周病菌は、聞いたことありますよね。そう、歯にくっついてる細菌です。歯周病の原因菌ですね。原因菌といっても、「歯周病菌」という名前の菌があるわけではなく、何種類もある歯周病を引き起こす細菌をまとめていういい方です。
この歯周病菌、歯肉(歯茎)の傷などから毛細血管に入り、血液に乗って全身に移動できちゃうんです。移動するだけならまだいいんですが、これがまた悪い菌で、行くとこ行くとこで悪さをします。
それでは、歯周病菌と死因となる病気の関係を見ていきましょう。
歯周病菌とガン
最近になって、細菌がガンを誘発させるメカニズムが科学的にわかってきました。歯周病菌が原因で、膵臓ガンの発生リスクが約2倍になるという研究結果もあります。
歯周病菌は毒素を出すので、付着したところを炎症させます。その炎症が慢性化すると、細胞組織のDNAを異常化(DNAメチル化異常)させてガンを誘発させてしまいます。
歯周病菌と心疾患
心疾患(心臓病)は、色々ある心臓の病気をまとめていういい方なので、一口に心疾患といっても様々です。その中でも、歯周病と関わりが深いものを挙げると、細菌性心内膜炎、アテローム性動脈硬化、虚血性心疾患などがあります。
細菌性心内膜炎
細菌性心内膜炎は、心臓の内側の膜に細菌が感染して炎症を起こす病気です。歯周病菌が血液を通して心臓にやってきて起こります。最終的には、心臓の弁が機能しなくなり心不全(心臓のポンプ作用が働かなくなる状態)になることもあります。
アテローム性動脈硬化
アテローム性動脈硬化は、アテローム性プラーク(粥状の塊)が動脈の血管にたまって血管を細くし、血の流れを悪くする病気です。最終的には、血液の流れを止めて心筋梗塞を起こすこともあります。
歯周病菌が出す毒素が血液に乗って心臓までくると、心臓の血管内で炎症細胞が増えます。この炎症細胞が出すサイトカイン(低分子のタンパク質)が動脈硬化を起こします。
虚血性心疾患
虚血性心疾患は、心臓の周りの冠動脈に動脈硬化が起こり、心筋(心臓の筋肉)に十分な血液・酸素が届かなくなる病気です。最終的には、心筋が動かなくなり心臓停止状態になることもあります。動脈硬化から起こるので、メカニズムは上のアテローム性動脈硬化と同じです。
歯周病菌と脳血管疾患
脳血管疾患は、脳の血管がつまったり、破れたりして現れる脳の色々な症状をまとめたいい方です。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などがあります。くも膜下出血は死に至る病気ですし、脳梗塞は半身不随や言語障害、認知症などを引き起こします。歯周病の人は、脳梗塞になるリスクが2倍になるともいわれています。
血管がつまったり、破れたりするのが原因なので、メカニズムはだいたい動脈硬化と同じです。
歯周病菌と肺炎
肺炎の中でも歯周病が原因と考えられるのは、誤嚥(ごえん)性肺炎になります。誤嚥性肺炎は、食べ物や異物を誤って肺に飲み込んでしまうことで起こる肺炎のことです。
食べ物と一緒に歯周病菌が肺に入り込むことで、肺が炎症を起こします。
歯周病を予防するには?
簡単ではありますが、歯周病がなぜ日本人の死因上位4つの病気を引き起こすのかわかったと思います。歯周病は寿命を縮める。すくなくとも、歯周病は病気のリスクを高くしてしまいます。逆のいい方をすると、歯周病を予防できれば、寿命を延ばしたり、健康な状態を長く保つことができるということです。
では、歯周病を予防するにはどうすればいいのか。それがわかれば、人生100年時代はもう安心ですよね。
歯周病とは?
そもそも、歯周病とは何でしょうか。
歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。
歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞し歯肉の辺縁が炎症を起こして赤くなったり、腫れたりしますが痛みはほとんどの場合ありません。
さらに進行すると膿がでたり歯が動揺してきて、最後には歯を抜かなければならなくなってしまいます。
日本臨床歯周病学会
要するに感染症です。歯周病の原因菌に感染すると、歯肉が炎症を起こし、歯肉や歯を支える骨などが溶ける病気です。最終的には、歯が抜けてしまいます。
歯周病の原因
歯周病は、原因となる細菌があることがわかりました。歯周病を引き起こす原因・メカニズムをもう少し詳しく見てみましょう。
お口の中にはおよそ400~700種類の細菌が住んでいます。
これらは普段あまり悪いことをしませんが、ブラッシングが充分でなかったり、砂糖を過剰に摂取すると細菌がネバネバした物質を作り出し、歯の表面にくつつきます。
これを歯垢(プラーク)と言い、粘着性が強くうがいをした程度では落ちません。
この歯垢1mgの中には約10億個の細菌が住みついていると言われ、むし歯や歯周病をひき起こします。その中でも歯周病をひき起こす細苗が多く存在していと言われています。
この歯垢の中の細菌によって歯肉に炎症をひき起こし、やがては歯を支えている骨を溶かしていく病気のことで、結果的に歯を失う原因となります。
歯垢は取り除かなければ硬くなり、歯石と言われる物質に変化し歯の表面に強固に付着します。これはブラッシングだけでは取り除くことができません。この歯石の中や周囲に細菌が入り込み、歯周病を進行させる毒素を出し続けていきます。
日本臨床歯周病学会
歯磨きが十分でないと、
細菌 → 歯垢(プラーク) → 歯石
とどんどん大きくなって、どんどん歯磨きでは除去できなくなってしまうようです。最終的には、歯が抜けてしまう怖ろしい病気だということがわかりました。
歯周病の予防方法
歯周病は30歳以上の成人の約80%がかかっているといわれています。だから、もうすでに自分も歯周病菌に感染していると思った方がよさそうです。そうすると、歯周病をいかに進行させないかが大事になります。つまり、歯垢、歯石にしないことです。
歯垢にしないために
毎日、確実に歯ブラシをすることです。歯垢(プラーク)は、しっかり歯ブラシをすれば取り除けるので、とにかく歯ブラシをして口の中を清潔に保つことが大切です。特に、歯垢がたまりやすい歯と歯の間や、歯と歯肉の間(歯周ポケット)を丁寧に磨くようにしましょう。
より効果的に歯垢を除去するために、自分に合った歯ブラシを使ったり、電動歯ブラシを利用したりするのもいいでしょう。寝ているときに細菌が繁殖しやすいので、就寝前に洗口液を利用したり、口を閉じて唾液が十分に口の中に満たされるようにしたりすることも有効です。
歯石にしないために
歯垢にならなければ歯石にもならないわけですが、歯ブラシだとどうしても限界があります。知らないうちに歯周ポケットに歯石がたまっていたりします。歯石は歯ブラシでは除去できないので、定期的に歯科に行ってクリーニングしてもらうことが大切です。1年に3~4回見てもらうのがいいといわれています。
まとめ
「人生100年時代、健康に長生きしたけりゃ歯を磨け!」の理由をわかっていただけたでしょうか。「歯周病は万病のもと」ともいわれます。毎日の歯磨きが歯の健康だけでなく、全身の健康をつくっています。しっかり、歯磨きをして人生100年時代を健康にのりきりましょう!
よ~し、さっそく歯を磨くぞぉ!
食後でええやん!
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